第2話:創業者の思いを受け継ぐ「レトロバゲット"1924"」

第2話では、「レトロバゲット"1924"」のヒミツに迫ります!
数ある進々堂の商品の中でも「レトロバゲット"1924"」には特別な熱い思いが込められています。その思いとは一体...?

はじめに

進々堂のバゲットは2種類あります。いわゆる普通の「バゲット」と、バゲットよりも細身で、フランス産小麦を使用した堅焼きの「レトロバゲット"1924"」です。

本場パリのバゲットを徹底分析して作られた「レトロバゲット"1924"」は、2006 年「フランス産小麦を使ったバゲットコンクール」で銀賞を受賞、おかげさまで今年で発売10周年を迎えました。

今や進々堂の看板商品とも言える「レトロバゲット"1924"」ですが、開発までには知られざる物語とおいしさへのこだわりがあったのです。

レトロバゲットってどんなパン?

「レトロバゲット1924」は、表面はパリっとして中はしっとりと柔らかくてほのかに塩気があり、噛めば噛むほど小麦粉本来の甘味が口中に広がるのが特徴。しっかりと焼き上げているので皮に弾力があり香ばしく、深い味わいになっています。

粉の風味を生かしたシンプルだけど飽きのこない味わいなので、どんなお料理とも相性がよく、様々な食事シーンで楽しんでいただけます。

普通のバゲットとレトロバゲット"1924"、一体どう違うの?

一番大きな違いは使っている小麦の違いです。

普通のバゲットは北米(カナダ・アメリカ)産の小麦、レトロバゲット"1924"はフランス産小麦を使っています。

北米産とフランス産の小麦ではどう違うの?

北米産の小麦とフランス産の小麦の一番大きな違いは、小麦粉に含まれているタンパク質「グルテン」の量と質の違いです。グルテンは水を加えて捏ねることによって網目状の組織を生成する小麦特有のタンパク質です。パン生地を捏ねてできたグルテンの網目状の組織の中で、酵母が発酵して炭酸ガスを出すので、パンがふっくらふくらむというわけです。

北米産小麦はふっくら柔らかいパン

北米産の小麦でできる所謂「強力粉(きょうりきこ)」は強くて弾力性のあるグルテンをたくさん含んでいるので、パン生地をしっかりミキサーで捏ねることによって、伸びの良いふっくら柔らかいパンを造ることができるのです。今日のパンのほとんどは、このタイプの小麦粉で作られています。

フランス産小麦しかだせない深い旨みと香り

それに対して、フランス産の小麦のグルテンには北米産の小麦のような弾力性はありません。また小麦に含まれるグルテンそのものの量も北米産より少ないので、フランス産の小麦は伸びの良い柔らかいパンを造るのには適していないのです。

フランス産の小麦粉で作ったパン生地を、北米産の強力粉で作ったパン生地と同じようにミキサーで強く捏ねると、かえってグルテンの組織が破壊されて全くパンがふくらまないという現象が起こるのは、このグルテンの量と質の違いによるものです。

そのかわり、フランス産の小麦は、ゆるく捏ねながら時間をかけてしっかり水を含ませ、発酵とガス抜きを繰り返しながら弱いグルテンを大切に育ててやることによって、北米産の小麦には絶対に出せない旨味と香りのあるパンを焼き上げることができるのです。北米産の小麦よりミネラル分を多く含むことも、フランス産小麦のほうが深みのあるおいしさが出せる理由のひとつです。

これがレトロバゲット"1924"のおいしさの秘訣!!

  1. 低温で一晩かけて じっくり発酵
    「レトロバゲット"1924"」は、フランス産小麦の特長を最大限に引き出すため、バゲットを焼く前日に生地を捏ね、一晩かけて低温でじっくり発酵を取ります。
  2. 約1.2倍の水を含ませた生地
    小麦に含ませる水の量も、普通のバゲットの約1.2倍。たっぷり水を含ませた柔らかい生地を大切に育てます。
  3. 高温でしっかりと焼き込む
    焼く時は高温のオーブンでしっかり焼き込む。

これが「レトロバゲット"1924"」のおいしさの秘訣なのです。
実はこういう製法は現在フランスのほとんどのパン屋さんで用いられている製法でもあります。進々堂は毎年フランスのパン業界を視察し、現地のパン職人さんたちとの情報交換を続けています。これも進々堂のパンのおいしさが本場に負けない理由のひとつなのです。

ミニコラム何故普通のバゲットにフランス産小麦を使わないの?

実はフランス産の小麦はとても高価なのです。
フランス産の小麦を日本に輸入しようとすると何と関税が270%もかかります。それに対して、北米産の小麦は政府が一括輸入して製粉会社に売り渡すしくみがあり、フランス産小麦の約半額で手に入れることができます。それで、日本の製粉メーカーは北米産の小麦を使って、フランス産小麦に近い性質の小麦粉を挽く努力をしているのです。

フランス産小麦を使った
バゲットコンクール準グランプリ受賞

2006 年日本初のバゲットコンクールが開催され、進々堂も「レトロバゲット"1924"」を携えて参加することとなりました。

日本中の有名シェフがこのために開発したバゲット330本が並ぶ中、フランス人MOFも参加した厳正な審査が行われました。そしてなんと、進々堂の「レトロバゲット"1924"」が準グランプリに選出されたのです。

「レトロバゲット"1924"」は世界からも評価を受けた、進々堂自慢のバゲットなのです。

レトロバゲット開発秘話

「バゲット・レトロ」との出会い

「レトロバゲット"1924"」の開発のきっかけとなったのはフランス視察の際に訪れたパリ13区"Le Grenier a Pain"の「バゲット・レトロ」との出会いでした。このお店は2003年パリバゲットコンクール・グランプリを受賞しているパリでもトップクラスのパン屋さんです。

本場の味を徹底追及!

何とかして進々堂でもこのレベルのバゲットを作り上げたい!という思いのもと、製造スタッフらで同店に通い味を覚え、帰国後その味を実現するために試作に挑みました。こうして何度も試作を繰り返し、半年以上かけてやっと完成したのです。

"1924"に隠された意味

レトロバゲットの名前にも入っている"1924"年は進々堂にとってとても重要な年を意味しています。

1924( 大正13)年というのは、進々堂の創業者続木斉(つづきひとし)が、日本人のパン屋として初めてフランス留学をした年でした。

本物のパンを勉強しようと旅立った斉は40日間の船旅の末、辿り着いたパリで世界一美味しいと言われるフランスパンに出会います。ここで彼は本場のフランスパンに魅せられ、これを日本に普及することが自分の使命と考えたのです。

その記念すべき年にちなんで命名されたのが「レトロバゲット"1924"」。まさに進々堂のルーツとも言える商品なのです。

まとめ

レトロバゲット1924"は
創業者のパンへの熱い思いとそれを受け継ぐ進々堂の
美味しさへのこだわりが詰まった自信作なのです。